血行と頭痛の関係
頭痛を引き起こす原因として「肩こり」はよく知られているものです。それでは肩こり自体はどのようにして起こるのかというと、その部分の血行が特に悪くなることで引き起こされます。
私たちの身体の細胞は常に「新鮮」であろうとします。「新陳代謝」という私たちの身体が備えた自己保存の機能は、常に身体の細胞をフレッシュな状態に保ち、身体が正常に機能するようにするためのものです。古くなった細胞は破棄し、老廃物は外に押し出し、新鮮な栄養素を補給し、常に万全の状態でいようとするものです。それは生理的なものであり、身体が自然と機能することであり、私たちの「意志」で新陳代謝を制御するようなことはできないのです。寝ていても、起きていても、食事をしていても、仕事をしていても、身体は常に自分の細胞を新しく作り直しているということになります。
それに深く関わっているのが「血の巡り」です。私たちの全身に張り巡らされた「血管」は、取り込んだ酸素と栄養素をまんべんなく身体の隅々まで届けるために血を循環させています。もちろん、血が循環するためには心臓が動いていることが必要で、心臓が動くことが、私たちが「生きる」ことと等しいのです。心臓が止まれば命の火が消えるということは、全身に血が巡らないようになるということです。取り込んだ酸素も、栄養素も、身体の各部に行き渡る術がないということです。全身を血が駆け巡ること、それが「生きる」ということであり、その血に栄養素を乗せること、酸素を乗せることが、命を保つために最低限必要なことなのです。
その「血」の巡りが一時的に、一部分だけで滞って肩こりなどの症状が起こります。それは無理な姿勢がたたった結果かもしれませんし、それだけではなく、慢性的にその部分が凝りやすいということになってしまっているのかもしれません。「肩こり」などの辛い症状はやがて他の部分にも影響を及ぼすようになるのです。その中でも辛いものが「頭痛」です。頭痛が起こってしまうと、その部分だけではなく、身体すべてに影響が出るのです。
血の巡りが悪くなることで引き起こされる頭痛は、その痛みを一時的に和らげるだけでは意味がなく、本当に必要なのはそれほどまで悪くなってしまった血行を良くすること、回復させることです。鎮痛剤で痛みを緩和するだけでは根本的な解決にならないのです。必要なことは全身が正常な状態を保てるよう、しっかりと栄養素を巡らせることです。新陳代謝が全身で正常に行われるようにすることです。
そこに不全がある状態でただ発生した頭痛を頭痛薬などで治すだけでは、薬が切れた頃にまたその頭痛が起こります。その時にまた頭痛薬を服用することになるかもしれません。一日に服用できる薬の量にも限度があります。その限度を越えて服薬すると、今度はその医薬品のために身体に思いもよらぬ症状が出ることになってしまうのです。それは絶対に避けたいことです。身体の状態を整えるために服用した薬で、さらに身体を痛めつけてしまうことになると、全く意味がないのです。
必要なことは全身が正常な状態であること、そのためには血の巡りが順調であることです。そしてそれは目には見えない部分です。血の巡りが悪いということは、肩こりなどである程度早期に発見することができるものの、大切なのはその後、どのような対策を取るのかということなのです。